金属材料について(SK編)
<炭素工具鋼鋼材(SK材)の用途や機械的性質>
当社取り扱い材料の一つとして炭素工具鋼(SK材)がございます。
工具鋼のなかでも使用頻度の高い鋼材で、C量が0.6~1.5%で焼入れ・焼き戻しを行うことで硬度を出すことができる材料になります。
硬度だけでなく耐摩耗性にも優れ、切削工具に使われるタイプもありますが、SK材全般は高温になると硬度が低下する特徴があり、熱の発生の比較的少ないタイプの手工具、例えばヤスリ、カミソリ、刃物、錐、斧、ゲージ、ぜんまい、ペン先、チゼル、刻印、丸のこ等によく使われます。
JISではSK60(0.55~0.65%C)からSK140(1.30~1.50%C)まで、炭素含有量によって11種類の鋼種が規定されていまして、炭素含有量が多い鋼種はやすりや刃物など硬さを最重視するものに用いられております。刻印やプレス型などじん性まで強く要求される工具類には炭素含有量の少ない鋼種が適しています。
当社製品では「シクネスゲージ」「フィラーテープ」「ライナー」「シム」に使用しております。
※ちなみに、炭素量が0.6%未満になると機械構造用(SC材)となります。
SK材の他、SKS材やSKD材と呼ばれるものがあります。
SKS材 ⇒ プレス金型用にはSKS3が使われます。SK材にCr、Wが添加された材料で、SK材に比べ焼き入
れ変形量が1/2と小さくなっています。現在、焼き入れ後にワイヤカット放電加工で形状加工
されるため、熱処理変形はあまり気にしなくなりましたが、以前は大きな関心を持たれていま
した。
中・少量生産のパンチ、ダイに使われます。その他では、焼き入れを必要とするストリッパやパ
ンチプレートなどに使われます。
SKD材 ⇒ ダイス鋼と呼ばれます。SK材にCr、MoおよびVが添加された材料で、SKD11がプレス金型では
よく使われます。パンチ、ダイの主流となる材料といえます。中量から多量生産用の金型に使わ
れ熱処理変形はSKS材より、さらに小さくなっています。
ワイヤカット放電加工での変形が少なく、加工しやすいことも金型材の主流となった要因もある
ようです。